季節的にもそろそろインフルエンザの予防接種の話題が増えてきました。
現在母乳育児をされているママさんの中で、こんな疑問や心配をお持ちの方はおられないでしょうか。
- 現在授乳中だけど予防接種は受けられるの?
- 母乳を通じて赤ちゃんに何か悪影響があるのでは?
- ワクチンに「防腐剤」を使ってるって聞いたけど?
などなど・・・よく授乳中の「飲み薬」は控えた方が良いと聞きます。
予防接種のワクチンは薬とは違いますが、母乳に出てしまいそうなイメージがあります。
今日はその辺り、私自身も気になりましたので色々と調査してきました!
毎日育児でお忙しい皆さんの不安が、少しでも解消されれば幸いです。
その他にも、インフルエンザの予防接種に関する記事がいくつかあります。
合わせて参考になればと思います。
目次
授乳中でもインフルエンザの予防接種は受けられる?
私もこの点が一番気になりましたので、勤務先におられる小児科の先生に直接質問してみました。
すると
『授乳中でも基本的に問題ありません』
『むしろ、ワクチン接種を推奨しています』
という心強い返答を頂きました。
その理由として、インフルエンザワクチンは「不活性ワクチン」となっています。
これはワクチンを作る際、元となるインフルエンザウィルスにこれ以上増殖しないような『処理』が施してあります。
そもそもインフルエンザは体内に入り込んだウィルスが爆発的に増殖して、身体の抵抗力(免疫力)を上回った際に発症します。
つまり、これ以上増えようのない不活性ワクチンでインフルエンザにかかることは、理論上あり得ないとされています。
この辺りは
の記事に詳しくまとめてあります。
要約すると、予防接種が直接的な原因で、ママや赤ちゃんがインフルエンザにかかることはまずありません。
加えて、母乳の「質」や「出」が悪くなることも一般的には無いと言われています。
授乳中のママはインフルエンザにもかかりやすい?
これは統計によるものですが、一般的な女性よりも育児中の女性の方が
- 睡眠不足
- 栄養不足
- 偏食
- 不規則な生活
- 疲労蓄積
などによって体調を崩しやすく、一般的にインフルエンザにかかりやすい体質であると言えます。
また、母乳はミルクに比べて赤ちゃんの「腹持ち」が悪いため、夜中にママが起こされる回数が増える傾向にあります。
そこから授乳ママの睡眠不足や疲労蓄積に繋がり、結果的にミルク育児のママよりもインフルエンザにかかりやすいという説があります。
そして、授乳中のママがインフルエンザになると「抗ウィルス薬」などの服薬が制限されることがあります。
実際には医師と相談の上で処方されることが多いのですが、「赤ちゃんのためにもなるべくなら飲みたくない」とお考えのママも少なくないでしょう。
ちなみにインフルエンザの薬としては
- タミフル(カプセル服薬)
- リレンザ(粉末吸入)
- イナビル(粉末吸入)
- ラピアクタ(薬液注射)
などがあります。
ただでさえインフルエンザは回復に時間がかかります。
完全に熱が下がってからも、丸2日間は仕事や学校に行くことができません。
そんなインフルエンザを「抗ウィルス薬」の服用なしに治すのは大変で、ママも辛い思いをしなくてはなりません。
母乳とミルクを半々くらいの赤ちゃんなら、ママが薬を飲んでいる間は完全ミルクにすることもできそうです。
しかし普段から完全母乳の赤ちゃんで、急にミルクへの変更はなかなか難しいと思われます。
哺乳瓶との相性や、トレーニングも必要な場合が多いのです。
加えてママの体調も最悪な状態です。
そうこうしているうちに、赤ちゃん本人にもインフルエンザをうつしてしまう可能性が出てきます。
このような理由から「ママの予防 = 赤ちゃんの予防」と言い換えることができます。
したがって、ママ本人が予防接種を受けておいた方が無難なのです。
できればパパや祖父母など同居の家族も全員で受けることで、さらに予防接種の有効性が向上するとされています。
ちなみにネットで色々調べているうちに、小さな子供のかかりやすい病気や日々の健康に関する情報が分かりやすく書かれた本を見つけました。
⇒【楽天ブックス】はじめてママ&パパの0〜6才病気とホームケア
病院に行くかどうか迷ったり、こんな時にはどうしたら?というような身近な疑問の解決に役立つ内容となっています。
ご自身で読まれる他にも、初めてお子さんが出来たご家庭へのプレゼントとしてもおススメです。
母乳を通じてママの予防接種で赤ちゃんに免疫が付くことは?
これは残念ながら「無い」そうです。
授乳中のママがインフルエンザの予防接種を受けることで、ワクチンが母乳を通って赤ちゃんにも免疫を付けてくれたら一石二鳥・・・。
予防接種の費用もママの分だけで助かる!
と都合良く考えたのですが、小児科の先生曰く
『効果は期待できない』
とのことでした。
ワクチンの成分の中には母乳に溶け込んで、赤ちゃんの体内まで届くものもあるそうですが、免疫機能や抗体を定着させるといった例は報告されていないそうです。
もともと生後6ヶ月未満の赤ちゃんには、誕生の際にママから受け継いだ免疫が身体を守ってくれています。
その影響のせいか、予防接種による免疫が付きにくいと言われています。
厚生労働省もインフルエンザの予防接種は、生後6ヶ月以降からを推奨しています。
(参考:厚生労働省のHP インフルエンザのQ&Aより引用)
上の項目でも書きましたが、ママが予防接種を受けても母乳を通じて赤ちゃんがインフルエンザにかかることも、免疫が付くこともないということですね。
小さな赤ちゃんの予防接種に関しては、下記の記事が参考になるかと思われます。
ママにはママで、赤ちゃんには赤ちゃんの予防接種をそれぞれ受けられることをおススメします。
ワクチンに防腐剤が使われているってホントなの?
インフルエンザ以外にも各種予防接種のワクチンには、以前から「チメロサール」といって、殺菌作用のある防腐剤が使われてきました。
ここで、なぜワクチンに防腐剤が入っているかを簡単に説明しておきます。
予防接種に使われるワクチンの量は大人と子供、乳幼児でそれぞれ違います。
しかしワクチンには「大人用」「子供用」というように分量別で用意されているわけではありません。
一定量のワクチンが入ったアンプル(容器)から、必要な量を注射器で吸い上げて使用します。
その都合上、一日の終わりにワクチンの「余り」が出てしまうことがあります。
防腐剤入りであればワクチン用の冷蔵庫に保管しておいて、次の日にも使うことが可能です。
ただし、防腐剤の入っていないものは当日限りで使い切るか、余れば廃棄しなくてはなりません。
ワクチンにも仕入れ費用(コスト)が関係していますので、防腐剤入りかそうでないものを使うかは病院の方針次第となります。
もうひとつ気になる点として「チメロサール」は商品名となっています。
正式な化合物名では「エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム」と呼ばれています。
「防腐剤」というだけでもあまり良いイメージがない上に、「水銀」の文字まで入っていることが分かります。
たとえ微量だとしても、水銀が身体に入るのには抵抗のある方もおられるでしょう。
先生のお話では、
『水銀と言ってもそこまで気にする成分と量ではない』
『最近はチメロサールの防腐剤を使用していないワクチンも出てきている』
とのことでした。
ただ、授乳中ということで母乳を通じて水銀(の一種)が赤ちゃんの体内に入る可能性は極力避けるべき・・・という意見もあります。
気になる方は、事前予約の際に「防腐剤使用の有無」を聞いてみるのが良いでしょう。
まとめと私の体験談
このように、今回は授乳中のママでもインフルエンザの予防接種は大丈夫かという点について調べてきました。
小児科の先生の貴重なお話も聞くことができて、自分自身にも勉強になりました。
では最後にまとめとなりますが
- 授乳中のママでも予防接種は基本的に大丈夫
- 赤ちゃんのためにもママの予防接種は推奨
- 母乳への悪影響も特に見当たらない
- ママが受けても赤ちゃんに免疫が付く訳ではない
- 防腐剤が気になる場合は事前に問い合わせを
といったところでしょうか。
参考までに、我が家にも3歳と1歳の娘がおります。
去年は授乳と予防接種の関係がよく分からないまま受けていましたが、今年はしっかりと理解してワクチン接種が受けられそうです。
予防接種でインフルエンザを100%防ぐことができないものの、かかる可能性を下げたり重症化を防ぐという効果は期待できます。
繰り返しになりますが、授乳中のママと赤ちゃんのためにもインフルエンザ予防接種はおススメです。